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透明感に心奪われるハオルチア属「オブツーサ」の特徴や育て方とその美しさのポイント’湿度’について

ハオルチア オブツーサ Haworthia obtusaの育て方紹介ページ
目次

ハオルチア オブツーサ -Haworthia obtusa-

今回ご紹介する多肉植物は、透き通るように瑞々しい葉が特徴的なハオルチア属の「オブツーサ」。
交配種も含めると100種を優に超えそうなオブツーサたちを、元気に、そして綺麗に育てる方法をお伝えしていきます!

ハオルチア オブツーサ haworthia obtusa

ハオルチア オブツーサとは?

オブツーサは南アフリカ原産の多肉植物「ハオルチア」属を代表する人気品種です。
‘窓’ と呼ばれるガラス玉のような葉先から光をとり込み、水分をいっぱいに蓄えた葉を重ねて、こんもりとしたドーム型に成長していきます。

瑞々しいハオルチアオブツーサ Haworthia obtusa

「オブツーサ」とは、元々 Haworthia cooperi v. truncata など「原種」と呼ばれる原産地の野生種(またその中でも特徴のある個体)を表す日本語名でしたが、それらを交配した新たな園芸品種も数多く誕生し、近年では概ね上の写真のような「葉先が丸く、大きな窓を持つ瑞々しいタイプのハオルチアの総称」のようにもなっています。

しかし、ひとくちに「オブツーサ」と言っても、よく見ると「窓の大きさや形」「透明度」「’条理’と呼ばれる葉の模様や色」など、それぞれの品種ごとに少しずつ違いがあります。
苗そのものの美しさに加え、それらの違いが更なる魅力となってコレクション性も高まり、現在も多くの人々を魅了し続けてやまない植物、それがハオルチアオブツーサです。

いろいろなハオルチアオブツーサの仲間たち Various members of Haworthia obtusa
いろいろなタイプのオブツーサたち

ハオルチア オブツーサの基本的な育て方と夏越しのポイント

オブツーサに限らず、ハオルチア属の仲間は基本的に暑さ寒さに強く、多肉植物のなかでもとても育てやすいグループです。もちろんひどい暑さや凍るほどの寒さはダメージになることもありますが、この儚げな見た目に反して意外と丈夫な植物です。

 POINT

  • 暑さ寒さに強めです
  • 日照量や水量に寛容で育てやすいです
  • 春と秋によく育ちます
  • 夜間に呼吸や吸水を行うCAM型光合成植物です
ハオルチアの育て方

■成長サイクル■

ハオルチアオブツーサは、年間を通して概ね以下のようなサイクルで成長しています。
(花期以外はその他のハオルチアもほぼ同様の成長サイクルです。)

近年ではハオルチアを室内で栽培される方が増えていますので、通年屋外栽培の場合に加えて、空調管理のある屋内栽培の場合も併載しましたのでご参考になさってみてください。

ハオルチア(オブツーサ)の一年間の成長サイクルと栽培スケジュール/通年屋外栽培の場合と通年室内栽培の場合

●日当たり 水やり 温度 植替えについて●

 以下は主に季節ごとの寒暖差がしっかりとある「屋外栽培」向けの育て方です。
ある程度空調の管理された室内栽培の方は後項の「室内管理の育て方も併せてご参考になさってみてください。

 オブツーサは日光を好みますが、成長に強光はさほど必要としません。
真夏以外は直射日光下で育てることも可能ですが、半日陰(50%程の遮光)や陽の当たる室内の窓際など、柔らかな光でも育てることが出来ます。わが家では基本的に秋冬20%・春夏50%ほどの遮光で、通年屋外栽培をしています。(冬季はビニール保護+ストーブ加温あり)。

 水やりは、オブツーサがよく成長する時期(春や秋)には2週間に1回程度たっぷりと行います。梅雨時や夏場、真冬など、生育が鈍る時期は傷みにつながりやすいため、月に1度軽く行う程度にとどめます。
その際、特に真夏は上からの散水ではなく、バケツなどに水を汲み鉢の底から少し水を吸わせる方法もダメージになりにくいのでおすすめです。

ただし、オブツーサ(ハオルチア)は多肉植物にしては珍しく水量や湿度に比較的寛容ですので、情報は参考程度にとどめていただき、様子を見ながらご自身の環境に合った頻度や方法で水やりを行なってみてください。さまざまな環境に順応できるタフな植物ですので「育て方の正解」があるわけではありません。ご自身の栽培環境で季節ごとのベストをぜひ探してみてください!

夏越しポイント

真夏の暑い時期に屋外で育てている場合は、灌水ではなく「霧吹き」も有効です。気化熱で周囲の温度を下げるとともに、湿度によって過度な蒸散は防ぎつつも水分の吸い上げは促して体内循環を向上させ、暑さによる負担や問題を減らせる可能性があります。(ハオルチアは空気中の湿度に対する感応性が高く、高湿度で代謝や成長が促進されます。詳細は次項で)。わが家では蓄圧式の霧吹きを使って、比較的風のある日の夜間にかるーく行なっています。

ハオルチア オブツーサ -Haworthia obtusa-

 オブツーサは15℃~25℃あたりが適温で、春や秋に健やかに育ちます。
夏季は40℃以上、冬季は氷点下を耐えるポテンシャルもありますが、突然腐って溶けてしまったり葉が凍ってしまったりという心配もあるので、夏場はなるべく風通し良く温度が下がりやすいように・冬場は5℃以下になったら明るい室内に取り込むのがおすすめです。

 植え替えは春や秋など、過ごしやすく気候の安定した時期に行います。用土にはうるさくありませんが、根がやや太めのため、通気性の良いものが特におすすめ。「赤玉土小粒粒状培養土を半分程度混ぜる」など、多少粒感のある用土を用いるのが一般的です。

ハオルチア オブツーサ -Haworthia obtusa-

オブツーサの透明感の秘密と瑞々しく育てる秘訣

オブツーサの魅力のひとつは、何と言っても ‘ふっくらとした葉’やその‘瑞々しさと透明感’ です。
この瑞々しさの秘密は、葉内部の貯水細胞の発達によるもの。オブツーサの葉の内部には、水分を蓄えるための細胞がぎっしり詰まっており、この部分が「増える」、またはここに「たっぷりと貯水されること」であの独特な葉の丸み瑞々しさが生まれています。

ハオルチアオブツーサの葉の断面図(マクロ) haworthia obtusa macro photo
オブツーサの葉の輪切り断面図(マクロ)

加えて「表皮の質」も重要なポイントです。オブツーサの窓部分(マクロ写真右下)の体表面はやや窪みのあるハニカム構造のような形状をしているようです(③、④)。この部分に強い光が当たり続けると、植物の保護反応により組織が厚くなり、いわば「ガラスが分厚くなり曇ってしまう」ような状態となって透明感は薄れてしまいます。
ですのでなるべく「強い光は当てず強めに遮光をして)、徒長しない程度の弱光で栽培する」。オブツーサを瑞々しく育てるためには、こちらも大事なポイントのひとつとなります。

オブツーサと湿度の関係

前の項にもありますが、ハオルチア(オブツーサ)は「空気中の湿度に反応しやすい植物」です。湿度が高いと成長が早く、色ツヤも良くなります
これはおそらく原産地の環境(気候)が「雨が少なく、代わりに夜間~朝方にかけて霧が多い」ことによるものと思われます。
一般の植物でも葉から多少の水分などを吸収することができますが、乾燥地帯に生きるハオルチアオブツーサはその貴重な水を活かすため、他の植物以上に湿度に対する特別な反応や吸収の機構を作ってきたのかもしれません。

ハオルチアオブツーサの光合成方法

また植物は通常、葉からの水分の「蒸散」によって生じた体内の負圧によって水分を引き込み、吸い上げています。
簡単に言うと、体内の水分を葉の気孔から放出することで、温度調整や新たな吸水を行なっているということです。

ハオルチアは夜間に気孔を開いてこの蒸散などを行う『CAM型光合成植物』であるため、夜間に高湿度の環境で育てることで蒸散と共にしっかりと吸水ができ、更に葉を瑞々しく保つことが出来ると考えられます。

↑こちらは実は全く同じ個体を別々に育てたもの。左:室内照明下(1000~2000lux)、右:屋外遮光30%ほどで栽培。どちらが良い悪いではないのですが、環境の違いでこれほど見た目に差が生まれます。

長くなりましたので再度簡単にまとめますと、透明感のあるぷりぷりなオブツーサに育てるには

POINT
  • 水分や湿度がある程度保たれている(特に夜間)
  • (水や栄養を得るための根や葉が元気)
  • 徒長しない範囲の優しい光で育てる

これらが必要な要素だと感じています。
具体的な湿度の数値に関しては最低でも夜間60%以上、苗が乾燥している場合には穴の開いたプラカップなどを被せて90%ほどに保つとふっくらした苗を育てることが出来ます。(ただし高温下では苗が腐りやすくなりますので、被せっぱなし等にはお気を付けを!)

さらに、これから試してみよう!と思われる方は、外側の葉を少し外して中心部の成長点にかかる圧力を弱めておくと、新しく貯水細胞たっぷりの大きな葉が出やすくなります。併せてお試しください!

ハオルチアオブツーサの室内栽培 Haworthia obtusa
肌が紫色に染まる有名品種「ドドソン紫オブツーサ(H. ‘Dodson Purple’)」

オブツーサを室内で育てる(LED照明栽培)

オブツーサをはじめとするハオルチアは「明るい光と風通し、月に1~2回の水やり」があれば良く育つため、近年ではLED照明等を使って通年屋内で栽培をする方が増えてきました。
簡単な方法だと、市販のメタルラックなど熱に強い素材の棚に水槽用のLED照明を針金等で固定するやり方。照明の電源部分にタイマーをかませると、自動で点灯・消灯が可能です。また意外と熱がこもりますので、小さめのファンなどで通気を良くするとより安心です。

ハオルチア 室内LED栽培の様子

私自身も小さな苗などの栽培は室内で行っています。
室内栽培は一般的な栽培環境(ベランダやお庭)より湿度が保ちやすく、空調で温度の管理もできますのでオブツーサ栽培にはおすすめの育て方ですよ。

植物は主に赤色や青色の光を成長エネルギーとするため、ライトは真っ白な光ではなく赤や青のLEDが入ったものがより適していると言われています。わが家では途中何度か消灯を挟みつつ、計7~8時間ほど点灯しています。

※前項のようにオブツーサをぷりぷりに育てたいという場合は、「照明の直下に置かない」ようお気を付けを!

ただ、屋内外ともに高湿度になるとどうしても苗の周囲に菌が繁殖し、苗がカビたり腐りやすくもなります。その予防や治療として「」などの殺菌剤をご用意いただいておくと更に安心です。

ハオルチア室内管理の場合の育て方

年間で大きな寒暖差のある屋外管理と違って、照明や空調を使ってある程度環境を一定に保てる室内栽培の場合、ハオルチア(オブツーサ)は通年成長することが可能です。
そのため、水やりに関しては様子を見ながら通年「2週間に1回程度」行う事ができます。
目安として、夏場の最高室温が30℃未満、冬場の最低室温が13℃以上に保てるようであればそのような管理が可能です。夏場や冬場の室温が上記の温度から外れるようであれば、その時期はもう少し水やりを控えた方が安心です。

また上記室温が保てるのであれば、植え替えや胴切り・葉挿しなども通年行えます。
とはいえ、特に梅雨~夏場は気を付けていても雑菌が繁殖しやすいですし、冬場の暖房も意外と熱や汚れた空気が籠るため、夏や冬はあまり苗を動かしすぎないことをおすすめします。

その他、栽培に必要な要素やポイントなどは前述の「日当たり 水やり 温度 植替えについてから以下の項をご参考になさってください。

オブツーサの増やし方(葉挿し・胴切り)

オブツーサをはじめとするハオルチアのふやし方は「葉ざし」が一般的です。植え替え時などに外側の元気な葉を付け根から綺麗に取り、切り口を乾かして清潔な用土に挿します。芽が出るまでは明るい日陰などに置いて管理します。
また、中心部の成長点付近に問題が出たり、本体がひどく徒長した、斑入り品種の斑が消え始めたなどの有事の際には「胴切り」を行なうこともあります。糸やテグスなどを茎に回し掛けて挟み切る方法です。
切った後は両方の切り口をしっかり乾かし、頭の方は葉挿しに使ったりそのまま清潔な用土に挿しておきます。本体の方は通常管理で大丈夫ですが、中心部が急な日焼けをしないようお気を付けください。

ハオルチア オブツーサの葉挿しと胴切り
葉挿しの様子。無菌状態ならタッパーやビニールに密封も可。
胴切られた苗

その他、「交配して種を蒔く」という方法も意外に簡単にできるので興味のある方はぜひ行ってみてください。長くなりましたので、方法はまた次のハオルチアご紹介の際に。

オブツーサの徒長の見極めポイント

徒長(とちょう)とは「日照不足や水分過多などにより、通常以上に組織が間延びしてしまう状態」を指します。

ハオルチア・オブツーサの徒長の様子

オブツーサの徒長(とちょう)は概ね「地上部の直径をその草丈が超えつつある」という指標で見ることができます。
(通常タイプのオブツーサであれば、成長年数やサイズにもよりますが、基本的に草丈直径の半分以下にまとまります。)

※オブツーサの種類によっては、初めからやや葉の長いタイプも存在します。

また、「中心部の葉が細くなり噴水のように高く伸びはじめている」、「全体的に葉が伸び、花のように四方に広がってきている」のも徒長の兆候です。

どの植物も、徒長するとその品種独自の特徴や魅力が出ないことはもちろん、体表や細胞が薄く伸ばされるため構造が弱くなり、菌や虫がつきやすくなったり、日差しや温度からの刺激を受けやすく環境変化がダメージになりやすいといったような好ましくない状態となります。

ぜひ栽培環境やお手入れの方法、そして何より苗本体をよく眺めながら栽培を行なってみてくださいね。
※万が一徒長してしまった場合は、前項でご紹介しました「胴切り」などで苗の仕立て直しを行うのが一般的です。

オブツーサの品種紹介 (随時更新)

ブラックオブツーサ(ダルマタイプ)
ハオルチア ゴースト
ゴースト(色素薄め)
特大ブルーレンズオブツーサ
オブツーサの仲間たちをもっと見る 
ミニ・ブルーレンズ
US系黒オブツーサ
ドドソン紫オブツーサ(冬季・屋外)
オブツーサ錦
イクラ錦×赤線レンズ(窓・色素変異個体)
マリン

随時更新予定



ぷりぷりな姿も、キュッと締まった野性的な姿も美しいハオルチア オブツーサ。
是非お手元でその魅力を感じてみてくださいね!


—–今月のひとこと—–

私の住む地域も梅雨に入り、近年めっきり見かけなくなっていたカタツムリを久々に目にすることができました。そういえばカタツムリが進化したものがナメクジなのだそうで…あの背中には殻の名残の小さな甲羅が入っているのだそうです。殻があったほうがなにかと便利そうに感じるのですが、なにか困ることがあったのかもしれませんね…

ハオルチア 沢山のオブツーサ haworthia obtusa

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