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神秘的な青光り・ブルビネ属メセンブリアントイデス(旧メセンブリアンテモイデス)の特徴と育て方

目次

ブルビネ メセンブリアントイデス 
-Bulbine mesembryanthoides-

今回ご紹介する多肉植物は、管理もしやすく、素敵な輝きを見せてくれるツルボラン科ブルビネ属の「メセンブリアントイデス(mesembryanthoides)/ (旧)メセンブリアンテモイデス (mesembryanthemoides) 」のご紹介です!

メセンブリアントイデスとは?

メセンブリアントイデス(以下、俗称の’メセブリ’と表記)は南アフリカの北ケープ州から西ケープ州にまたがる半砂漠地帯の砂地や岩場に生きる半球根性(semi-tuberous)の植物です。

以前ご紹介したメセンの仲間たち(リトープスコノフィツムなど)と同じく、透明度の高い葉先から光を取り込んで光合成を行うおもしろい植物。
※名称が混乱している植物でもあります。詳細は記事のおわりに。

ブルビネ メセンブリアントイデス Bulbine mesembryanthoides
↑左:すりガラスのような葉の上部から取り込んだ光を、葉内部の透明な貯水細胞を通じて奥へ引き込み、右:葉の底部にて光合成に利用するしくみ。

メセブリの「青光り」の不思議

また、メセブリの特徴はなんといっても、この葉の幽美な透明感と不思議な「青光り」です。

ブルビネ メセンブリアントイデス Bulbine mesembryanthoides


瑞々しい果肉のような葉に宿るこの鮮やかな輝きは他の多肉植物にはなく、この光を見たくて栽培を始める方もいるほどです。

ブルビネ メセンブリアントイデス Bulbine mesembryanthoides
↑折れたのでナイフでカットし直した葉。角度によって葉の内部がキラキラと青色〜ターコイズグリーンカラーに変化する。まさに宝石のよう。


このキラキラとした青光りは、メセブリ特有の独特な形をした貯水細胞や細胞膜での光の反射または干渉によるものと推測されます。

↑ハオルチア属オブツーサの断面図と比較。メセブリは内部の貯水細胞が一部面状になっているため独特の光の反射等を起こしやすいのではと考えられる。また面の細胞の並びや大きさが均一だと、とりわけこのような反射を起こしやすいのだそう。


ちなみに、出たばかりの葉や小苗などサイズが未熟な葉の場合はオレンジ色や濃い黄色に光ることもあります。
こちらもとても綺麗です!

ブルビネ メセンブリアントイデス Bulbine mesembryanthoides
よく似た光り方をする宝石「オパール」は構成物であるシリカの粒子の並びが均一でかつ大きいと「赤色」に、小さいと「青色や緑色」に光るそう。メセブリと逆…??


こういった興味深い特徴を持ちながらも、苗全体の草丈は4センチ程度・径も同じく4~5センチ程度と、成長してもとても小柄な植物ですので、広いスペースがなくても栽培可能。
季節的な栽培のコツさえつかめば、とても育てやすい植物です。

ブルビネ メセンブリアントイデス Bulbine mesembryanthoides

メセブリの育て方
(原産地の環境を参考に)

原産地は冬季にまとまった雨の降る半砂漠地帯で、乾燥)と降雨:年間雨量100~200mm程度)に大まかに分かれているような気候帯です。
(自生地のひとつである西ケープ州ウースターでは、夏は最高気温40℃〜冬は最低気温-1℃ (2021年)という環境で、半砂漠のため1日の日較差も大きめのようです。)

そのなかでメセブリは1年を通して

  • 雨の量が増える冬の間に青々とした葉をゆっくりと伸ばし(成長期
  • 葉が展開しきった後にを咲かせ
  • 徐々に暑さが増してくる梅雨頃には地上部の葉をやや萎ませて成長や消耗を抑え真夏を乗り切る(休眠期

こういったサイクルで育ちます。
ですので日本でもこれに準じた育て方で水やりや置き場の管理などを行うとうまく育ちやすいです。

メセブリの管理方法
・成長期(初秋/9月 〜 梅雨前/5月頃)

暑さの峠を越した9月ごろから徐々に瑞々しい葉をのぞかせ、成長期が始まります。

 メセブリは太い根に水分や栄養を貯められる半球根性の塊茎植物ですので乾燥にはとても強く、夏場の休眠期はほぼ断水しても大丈夫
休眠があけて新葉が出てくる頃から様子を見ながら少しずつ水やりを再開し、冬季の成長期には週1回~隔週程度たっぷりと潅水を行います。

 日照にはさほどうるさくありませんが、陽が弱すぎると葉がだらんと伸びて不恰好になりますので、20~30%ほどの弱遮光しっかりと陽に当てることをお勧めします。

 植え替えもこの成長期に行います。休眠から目覚める秋口前後もしくは春がおすすめです。わが家では秋にしっかり目覚めたのを確認した後行なっています(春は開花やその後の休眠が近い為)。
メセブリの根は「塊根部からさらに細根が四方に伸びる」という構造ですので、小粒と細粒あたりが混ざったような通気性はありつつ・やや細かくもある用土がおすすめです。多肉栽培用の用土に、一般の草花用用土を半分~1/3程度混ぜてもOKです。

↑種子から育てて過保護にしていたため、徒長しダランとしてしまった苗。根の塊茎部は順調に育っている様子。


 真冬は霜や雪がかからないように注意をし、氷点下になりそうな夜は室内に入れてあげると安心です。自生地では多少の降雪もあり、わが家でも屋外無加温(-4℃まで)でなんとか育てていた時期もありましたが、葉が変に傷んでしまうのでおすすめしません。

メセブリの管理方法
・休眠期(梅雨時/6月 〜 夏/8月頃)

 しっかり陽に当たっている苗ですと、気温が上がる5月あたりから少しずつ葉が萎み始めるので、それに合わせて徐々に水やりの間隔をあけていきます。厳暑期はほぼ断水しても大丈夫ですが、涼しい夜などに軽く散水すると細根の消耗を防ぐことができます。ただし特に高温時の蒸れはとても苦手ですので、その後しっかり風に当たるようにしてあげてくださいね。(不安な場合は断水を!)

 夏場は半日陰程度の風通しの良い場所に置き、株の蒸れを防ぎます。(地上部がほぼ枯れこんでいる場合はもう少し日陰でも大丈夫です。)

ブルビネ メセンブリアントイデス Bulbine mesembryanthoides
↑休眠が近い苗。よく陽に当てて育てると休眠前には葉上部がしっかりと潰れて地面に潜るような格好に。(弱光で育てたり、まだ小苗の場合は葉が潰れず休眠する場合もあります)。「日光のエネルギーは取り込みつつも気孔からの蒸散(乾燥)は物理的に防ぐ」という、乾燥地帯で進化した植物ならではの構造。

メセブリの花期と交配方法・種子の採り方

休眠期に入る直前の5月頃がメセブリの花期となります。
細い針金のような花茎を20センチほど伸ばして、黄色い花を下から順番に咲かせます。
(葉が潰れだす頃に花芽が上がるので、夏場の自生地ではこの花茎を目印にどこにいるかを探すのだそう。)

ブルビネ メセンブリアントイデスの花期 Bulbine mesembryanthoides

別の株があれば花粉をつけ合って交配することも可能です(自家受粉はできないようです)。
結実率や種子の発芽率は他の多肉植物に比べてかなり良い方だと感じます。
ただし、ひとつの花自体は基本1日~もって2日程度しか開きませんので、交配のタイミングを逃さないよう気を付けてくださいね。

ブルビネ メセンブリアントイデスの花と交配 Bulbine mesembryanthoides
中心部から1本細く伸びる組織がめしべ。その周りのふわふわした繊毛をもつのが雄しべ。花粉が出ている別の個体のおしべをピンセットなどで取ってめしべに付け合います。

種子ができると1週間ほどで花の付け根が膨らみます。ひと月ほど経つとさらに熟れ収穫可能に。乾燥すると勝手に鞘が開き種子が風で飛んでいってしまうので、あらかじめテープを張ったりネットを被せるなど保護しておくと安心です。

メセブリの種まき(実生)方法とその後1年間の成長の様子

種まきは成長期が始まる秋がおすすめ。通常の多肉栽培用土にを半分ほど混ぜ込み、表面に1センチほど赤玉土細粒を敷き詰めてパラパラと種子を蒔きます。(明るい日陰で腰水にし、覆土は不要)。大体2週間ほどで発芽しはじめますので、発芽が揃った頃に腰水から外し、半日陰程度の環境に置いてしばらくは表土が乾き始める前に水やりを行ないます(ひと月ほど。その後は徐々に間隔をあけ、週に1回~隔週程度へ)。
発芽率もよく、初めての方でも挑戦しやすいのでおすすめです。

また、多肉植物にしては初開花までの期間がとても短く、播種から一年半ほどで花を咲かせてびっくりすることもしばしば。楽しんで実生チャレンジを行なってみてください!

ブルビネ メセンブリアントイデスの種まき・実生方法 Bulbine mesembryanthoides
↑播種から丸1年程度の実生苗。画像左下のサイズでも開花します。

「自生地では個体としての長生きはあまりしない」との記事を読みましたが(末尾にリンク有)、その分、結実率や発芽率の高さと、この開花までの早い成長サイクルで種を存続させているのかなと想像した次第です。
日本で育てる場合も、夏の暑さに負け休眠から起きずにそのまま枯れたり、うっかり真冬の寒さに当たって枯れてしまったりすることがありますので気を付けて、可能であれば種子から沢山育ててみてくださいね!

メセンブリアントイデス?メセンブリアンテモイデス?名称問題がついに決着

最後に、このメセブリはしばしば「mesembryanthoides メセンブリアントイデス」と「mesembryanthemoides メセンブリアンテモイデス」という二通りの名で流通しており、名称が世界的にやや混乱していました。

調べてみたところ、そもそもの原因としては以下の様な経緯のようです。

かつてイギリスの王立植物園「キューガーデン」(世界最大の植物園)から植物収集のためアフリカへ送られた植物学者 James Bowie氏がメセブリを発見。
その苗を受け取った同じくイギリスの植物学者であるAdrian Hardy Haworth氏が1825年出版のジャーナル内「新種紹介」記事(↓下の画像)で使用し、その後も様々な書籍等で使ってきた名前が「mesembryanthoides メセンブリアントイデス」。
しかし、後にキューガーデンやハーバード大学などが現在共同運営する植物データベース『IPNI』に登録された学名は「mesembryanthemoides メセンブリアンテモイデス」。
‘発見当時から使われてきた名前と、権威ある組織が登録した名称が違っている’この部分が名称混乱の大きな原因のようでした。

↑1825年に出版された、Haworth氏によって書かれた初のメセブリ紹介記事。「Philosophical Magazine and Journal 第66巻P31-32」Biodiversity Heritage Libraryより。


なぜこの表記の違いが起こったのかIPNIに確認を取ってみたところ、担当氏によると「確かに元の表記はmesembryanthoidesであるが、筆者は記事の中で明らかにmesembryanthemum/メセンブリアンテマム属との類似性を示しているため綴りの誤りとみなし、国際命名規約(ICN)に基づいて正しい表記(mesembryanthemoides)に訂正し登録した」とのことでした。またこの旨をIPNIの記録にも注釈として残す※1、とのことでした。

↑この確認から数日後、IPNIより再度連絡があり、「今回再調査の結果、当時の記事内の’mesembryanthoides’ 表記は mesembryanthemum -oides を指したもので綴りのミスだと把握をしていたが、実際はmesembryanthus -oides を指したものだったと確認がとれ、綴りのミスではなく意図的な表記だったとして、登録名を当時の記事の呼称である『mesembryanthoides 』に改めて変更しなおしたとのことでした(2022年7月)。(それに伴って、掲載されていた上記の注釈※1も削除されました。)

世界的に混乱が続いていた名称問題でしたが、このような流れでこの度めでたく「mesembryanthoides メセンブリアントイデス」に統一されたとのことで、今後、より情報等が共有・検索しやすくなるといいなと思います。

話が長く、そしてややこしくなってしまいましたが…読んでくださりありがとうございます!
メセブリはネットショップを中心に苗や種子の購入が可能です、本当に美しい植物ですのでぜひぜひ実際に目で見て楽しんでくださいね。

参考リンク

Haworth氏のメセブリ発表当時のジャーナル(27ページから本文)
IPNIの現在のメセブリ登録情報
「自生地ではあまり長生きしない」旨の記述がある記事『ABOUT BULBINE MESEMBRYANTHEMOIDES/H. HALL』Googleアカウントでログイン可

※ちなみに、同じ理由で併せて「リプサリス属のメセンブリアンテモイデス(Rhipsalis mesembryanthemoides)」の名称も「mesembryanthoides 」に変更となっています。

リプサリスのページを見てみる!↓

ー今月のひとことー

朝食は毎回簡単にシリアルと決めているのですが、最近は頂き物の真っ赤なホットサンドメーカーに色んな具を挟んで食べています。すっかり虜です。スーパーでは「挟めそうか否か」という視点でお買い物をしています。
そして毎朝の楽しみが増えホットサンドメーカーに愛着が湧いてしまったせいか、キッチンを通るたび抱っこをせがまれているような気分になります。疲れて(憑かれて)いるのでしょうか。

*フォローやご質問などお気軽に!*

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