記事の画像は全てワンタップで「拡大・閉じる」が可能です。ぜひお楽しみください!

グラプトペタルム属の種類やその特徴、育て方をご紹介【氷点下も耐える/”朧月”が有名!】

グラプトペタルム属の特徴と紹介ページ Graptopetalum Introduction
目次

グラプトペタルム
-Graptopetalum-

おそらく日本人に最も馴染みの深い多肉植物のひとつ「朧月(おぼろづき/G.paraguayense)」。今回はその朧月に代表されるベンケイソウ科「グラプトペタルム属」の仲間たちをご紹介していきます!

グラプトペタルム属の特性と有名品種「朧月」

関東以南ではご近所や街中を散策していると上の写真のような「朧月(おぼろづき)」を屋外栽培されているご家庭に巡り会うことが多いので、一度は目にしたことがあるかもしれません。
朧月は昭和初期の園芸ブームの際日本に導入されたと言われており、今や一般のご家庭で最も親しまれている多肉植物のひとつとなっています。

朧月

↑このように育つ場所をあまり選ばず、軒先の鉢から這い出て門柱やブロックの隙間等からワイルドに繁っていることもしばしば…

グラプトペタルム属 銀天女
↑地際で群生するタイプの小型種「銀天女(G.rusbyi)」


グラプトペタルム属の多くはこの朧月に代表されるように多肉質の葉をロゼット状に広げ、以前ご紹介したエケベリア属とよく似た姿をしているものが多いのですが、冒頭のようにエケベリアよりも性質はやや強健。
関東以南であれば通年屋外栽培が可能で暑さ寒さに強く、多少の雪なら平気な顔をしている品種も多いので、多肉植物が初めてという方でも育てやすいグループです!

雪にも耐えるグラプトペタルム属朧月
↑氷点下も耐える「朧月」。枝垂れるように群生している事が多いです。

グラプトペタルム属の原産地

自生地はメキシコや北米アリゾナで、現在19種が確認されている比較的こぢんまりしたグループ。乾燥地帯の岩肌の割れ目や灌木の下などに自生しています。(軒先で奔放に茂っている姿はわりと自生地に近い雰囲気なのかもしれませんね*)
どの品種も繁殖力が旺盛で、ポロっと葉が落ちた先で元気に新たな芽と根を伸ばしていく逞しさがあります。

姫秋麗 グラプトベリア 薄氷
↑両サイドに枝垂れるように群生している「姫秋麗G.mendozae)」と中央の「グラプトベリア 薄氷Graptoveria ‘Caerulescens’)」。姫秋麗はお水が多いと少しの刺激で葉が落ちやすくなるので、やや乾燥気味の方が管理がしやすいです。

やや小さめのグループとはいえ別属のエケベリアやセダムなどと属間交配が容易で、それらを掛け合わせた品種(グラプトベリア、グラプトセダム等)が数多く存在します。強健さを受け継いで管理もしやすいので、栽培のみならず住宅の植栽や寄せ植えなどにも幅広く用いられ、知らぬ間に手に取っている機会が多いのがグラプトペタルムの仲間たちです!

グラプトペタルム属の見分け方のポイントは「花」

グラプトペタルム属 アメジスチヌム/アメジスチナム(G.amethystinum)

↑ふっくらとした丸みのある葉で一見別属のように見える「アメジスチヌム/アメジスチナム(G.amethystinum)」もグラプトペタルム属の仲間です。外見の丸っこさは「パキフィツム属」にかなり似ているのですが、グラプトペタルム属とその他の属との見分け方のポイントはその「

グラプトペタルム属 ペンタンデューム(G.pentandrum
グラプトペタルム属 ペンタンデューム(G.pentandrum)の花

↑グラプトペタルム属「ペンタンデュームG.pentandrum)」、苗本体は一見エケベリアのようですが、花芽の雰囲気は全く違います。

グラプトペタルムの多くは毎年5月頃に葉の隙間から花芽を伸ばし開花します。
その特徴は「花弁は5~6枚で、しっかりと開かれた星形の花(おしべは花弁の枚数の倍)」「めしべが受粉可能になるとおしべが大きく外側に反り返る」ということ。
また個人的には「花茎がよく枝分かれしている」事も特徴的ではないかと感じています。(苗本体はエケベリアに似ますが花の雰囲気はセダム寄り。)

グラプトペタルム属の花の特徴 見分け方のポイント
↑左上から時計回りに、アメジスチヌム姫秋麗ペンタンデュームパキフィルム朧月銀天女の花

花色はオフホワイトから淡い黄色、また白地に赤紫色の模様が入っているタイプも多くみられます。
属名の’graptopetalum’はラテン語で「刻まれた模様」を意味しますが、それはこの特徴から名付けられているようです* 花の時期になったらよく観察してみてくださいね。

(ちなみに、グラプトペタルム属と別属との異属間交配種にも若干この花の特徴が遺伝することがあるため、お花がこのタイプだからといってすべてが純粋なグラプトペタルムとは限らない点をお含みおきください。)

グラプトベリア シルバースター
↑葉先の紅葉が見事な異属間交配種「グラプトベリア シルバースター(Graptoveria ‘Silver Star ‘)」。やや暑さが苦手な印象がありますので、夏場は風通しよく管理してあげてください。

グラプトペタルム属の育て方

 グラプトペタルムは暖地のわが家では基本的に露地植え&通年屋外栽培で育っている強健種ですが、夏場は可能であれば直射日光は避けて網戸一枚程度遮光をしてあげると安心です。
冬場はなるべく霜や雪に当てないよう、日照を確保しながらビニールなどで寒風を遮る工夫を。

 水やりにもあまりうるさくありませんので、春や秋など過ごしやすい時期には2週間に1回程度。雨ざらしの場合は基本雨に任せて、日照りが続いた時のみ様子を見て灌水します。
梅雨時期真夏冬季は水やりを控え、耐候性を上げておきます。
どのシーズンも葉の様子を見ながら(凹みやシワがある→水やりする。葉と葉の間の茎がのびてきた→陽が足りない・もしくはお水多すぎ)など、確認をして都度調整してみてくださいね。

グラプトペタルムの仲間とその紅葉

グラプトセダム ブロンズ姫
↑寄せ植え中央部、赤味の綺麗な交配種「グラプトセダム ブロンズ姫(Graptosedum ‘Bronzo’)」繁殖も容易で色形も可愛らしいので寄せ植えに活躍します。より明るい桃色の斑入り種「ピーチ姫」も人気。

グラプトペタルム属やその交配種の多くは普段、くすんだ緑色や桃色がかった灰色〜紫色など比較的シックな色合いの多いグループなのですが、上のブロンズ姫のように秋から冬葉にかけては色味も変わり、とても鮮やかになります。

グラプトペタルム属 四季の変化の様子
秋麗」の夏→秋→冬→春の姿。どの姿も素敵ですね。

上の写真は異属間交配のグラプトセダム「秋麗」の四季の様子を写したもの。グラプトペタルムもセダムも共にベンケイソウ科で冬季には綺麗な紅葉をみせる多肉植物です。


ちなみに濃い桃色の花が可愛い「タキタスベルラ」↓は長くグラプトペタルム属とされてきましたが、近年ではその花を含め苗の特徴が独特なため、近類種という扱いに移行しているようです。

タキタスベルラ
↑渋い本体の色とは対照的な鮮やかなピンク色の花が目を惹く「タキタスベルラ」。左は交配種の「グラプトベリア フィラ」。


↓一枚の葉挿しから数年露地植えでたくましく育った交配種「グラプトベリア 白牡丹(Graptoveria ‘Titubans’)」。
グラプトペタルム属はとにかく扱いやすい品種が多いです!

グラプトベリア 白牡丹(Graptoveria ‘Titubans’)

強くて可愛くて手に取りやすく育てやすいグラプトペタルムの仲間たち、ぜひ育ててみてくださいね。
またお散歩やお出かけの際には、塀の隙間から顔を覗かせていないかチェックもお忘れなく!

参考リンク

グラプトペタルム属の特徴(花)に関するレポート

-今月のひとこと-

クレマチス

今年の西日本は記録的な早さでの梅雨入りとなりましたが、以降は意外と晴れ間も多く園芸作業が滞らず助かっています!
ずっとお庭の奥にあったクレマチスを今年は少し日当たりの良い場所に持ってきてみたところ、例年より色付き大きな花を沢山つけてくれて見事でした。『置かれた場所で咲きなさい』という有名な本もありますが、まずは合っているところに置いてやることも大事だなと実感しました。

グラプトペタルム属の特徴と紹介ページ Graptopetalum Introduction

*フォローやご質問などお気軽に!*

よろしければシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次