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アエオニウム属の特徴と季節ごとの育て方【色とりどりのロゼットが可愛い!】

アエオニウム属の紹介ページ Aeonium introduction
目次

アエオニウム -Aeonium-

夜空を彩る花火のようにパッとひらいた葉が印象的なベンケイソウ科「アエオニウム属」の仲間たち。
伸びた茎の先に多肉質の葉を広げ、お花のようなロゼットを形成する植物です。今回はまるで自然が生んだ花束のようなアエオニウム属の魅力と育て方をご紹介していきます。

アエオニウムのサイズは多種多様

アエオニウム  Aeonium

アエオニウムの葉のロゼットは小さなものだと2cm程度から、大きいものだと20~30cmまで、品種によって様々です。
そのロゼットを生涯地際で展開するものや、または成長に従ってゆっくりと茎が伸び木質化して灌木状になるものがあり、なかには草丈が1mを越す品種もあります(属の代表的品種「黒法師」など)。そのため一部は一般の観葉植物として販売・栽培されることも。

アエオニウムの主要な原産地はカナリア諸島

アエオニウム サンバースト綴化(Ae.urbicum variegata 'Sunburst' f.cristata)
↑「サンバースト綴化(Ae.urbicum variegata ‘Sunburst’ f.cristata)」比較的暑さ寒さに強い印象。暖地のわが家では毎年屋外のビニール棚で-4℃まで耐えています。

アエオニウムの原種は現在確認されている全42種のうち、36種類がスペイン本土から南西方向にある「カナリア諸島」原産。モロッコや東アフリカなどにも確認されていますが、それらも元々はこのカナリア諸島で発生したと考えられているそうです。(交配で作り出された園芸用品種を含めるとより多くの種類がありますよ!)

7つの火山島からなり、’常春の楽園’とも呼ばれるカナリア諸島は、年間通して15℃〜28℃程の穏やかな気候で、雨も少なくかなり過ごしやすいようです。(冬場に多少まとまって降るようですが、総雨量は日本の比ではありません。)
ですので、季節ごとに気温差の激しい日本でアエオニウムを育てる場合は、夏の暑さと冬の寒さの2点に気をつける必要があります。

アエオニウム 黒法師(Ae.arboreum 'zwartkop'
↑7月後半、休眠中の「黒法師(Ae.arboreum ‘zwartkop’)」の姿。黒法師もアエオニウムのなかでは比較的暑さ寒さに強い印象で、関西以南では通年軒下での栽培風景もしばしばみられる。

アエオニウムの育て方

 夏場は外葉を落とし休眠を行ないます
 生育期はお水を好みます
 寒さが深まるまで元気ですが急な冷え込みには注意

休眠期(夏場)の管理方法

夏場は気温が上がってくる6月ごろから徐々に動きが緩慢になり、上の写真の黒法師のように外側の葉を徐々に落としてロゼットが真っ平ら〜やや小さくすぼまった形で夏を越します。(休眠

 その期間は風通しのよい半日陰の軒先などに置き、蒸れないように気を付けます。

 水やりは2〜3週間に1回程度表土が湿るくらい軽めに行います。あまりあげすぎないように注意!

アエオニウム  夕映え(Aeonium ‘Kiwi’)
↑左:「夕映え(Ae. ‘Kiwi’) 右:「レモネード(Aichryson ‘Lemonade’)」。両者とも黒法師より耐寒性が劣ります。※レモネードはアエオニウム属として流通していますが、近縁のアイクリソン属とのこと(今回未掲載の「愛染錦」も同じくアイクリソンだと紹介している書籍もあります)。


アエオニウムの根は基本的に細く、深くまで伸びている主根は体の保持が主な役割で、給水に使われている根は表土から5〜10cm程度の浅い部分のようです。なので夏場は少量のお水でも大丈夫。やりすぎると根が腐ってしまう可能性があるので気をつけてくださいね。

夏が過ぎ涼しくなってくると生育期本番。葉が伸びだしたりロゼットが緩んできたり成長点(ロゼットの中心部)が若々しい色に変化したりと目に見えて動きが出始めますので、以降は少しずつ水やりを増やします。

アエオニウム リンドレー錦(Aeonium lindleyi f.variegata)
↑ふわふわした葉がかわいい「リンドレー錦(Ae.lindleyi f.variegata)」。根張りが遅く・浅めのため、倒れやすいので少し深めに植えつける。

生育期(秋~翌春)の管理方法

 アエオニウムは元々お水を好むので、生育期になると雨ざらしでもよいほど。軒下管理の場合は1〜2週間に1回程度たっぷりと水やりを行ないます。

 日光も好みますので、陽をたくさん当てながら遮光20%~直射日光下で育てます。

 植え替えもこの時期(秋か春)がおすすめ。また多肉用の土では乾燥しすぎて水分を求め気根が出る場合もありますので(※1夕映え参照)、黒法師や夕映え、サンバーストなどロゼットが大きめの品種は通常の草花用用土を半分~1/3程度混ぜ込むのもおすすめです。(日当たりが悪い・水やり頻度が多い場合はこの限りではありません)

 秋を経て、冬場もかなり寒さが増してくるまで元気に育ってくれますが、5℃を下回り氷点下近くなると一気に枯れこむことがあるので特に夜間の気温には注意が必要です。
可能であれば5℃近くになってきたら水やりを控え、夜間だけでも室内に取り込むなど工夫してあげてくださいね。(屋外で冬越しする場合は新聞紙や不織布、ビニールなどで念入りなカバーをした方が安全です。)
が近づき気温が上がってきたら、再び梅雨頃まで生育期となりますので、また秋同様の管理を行います。

アエオニウム  仙童唱(チョコチップ , Aeonium spathulatum)
アエオニウム  仙童唱(チョコチップ , Aeonium spathulatum)


↑「仙童唱(チョコチップ , Ae.spathulatum)」小型のアエオニウム。別名のとおり葉裏に小さな茶色のチップ模様が入る。成長はわりと速めで夏場には葉先がキュッと丸くなって休眠するなど、変化が多くとてもかわいい。「生けるチュッパチャップス」(舐め終わりごろ)

アエオニウムの増やし方 葉挿しは可能?

葉挿しはできないこともありませんがなかなか難しいので、ふやす場合は生育期際中の程よいところで枝を切り取り、切り口を乾かしてから挿し木にするのが一般的です。カット後は元株の切り口周辺からも沢山の新芽が出てきますよ!
背が高くなりすぎた場合も同じ要領でカットすると剪定が可能です。

アエオニウムの葉挿し Aeonium

アエオニウム特有の「粘液」をマクロ画像で!

アエオニウム  小人の祭り(Aeonium sedifolium)」 と富士の白雪(Aeonium goochiae ‘Ballerina’)
↑左:「小人の祭り(Ae.sedifolium)」 右:「富士の白雪(Ae.goochiae ‘Ballerina’) 」

アエオニウムの中には葉から独特な香り(ちょっとくさい)がするものや、葉全体がねばねばしているものなど少し変わった特徴をもつ品種もあり、とても興味深いです。
下の画像は、上の写真「富士の白雪」と「小人の祭り」の葉の表面をズームで見たもの(x40~100)。どちらも葉が粘着質タイプの品種ですが、葉に小さな腺毛が生え、先端にキラキラとした分泌液がぷっくりと滲み出ている様子が伺えます。アエオニウムのこの分泌液や香りの目的は調べる限り不明でしたが、乾燥や小さな虫の食害等から身を守るためではと個人的には想像しています。
画像ワンクリックで‘拡大・閉じる’が可能です↓

アエオニウムの粘液マクロ画像  Aeonium
↑ 上:富士の白雪、下:小人の祭り


尚、数年前に「グリノービア属」がアエオニウム属に統合されメンバーが増えてているのですが、そちらはまたいつか。
今回ご紹介したアエオニウムは園芸店やネットショップなどで比較的手に入りやすい種類なので、お出かけの際にはお店など覗いてみてくださいね。
成長はあまり速い方ではありませんが、同じ品種でも育て方やカットによって枝ぶりが変わり、どこか盆栽にも似た面白みもあると感じています。
アエオニウムの名前の由来はギリシャ語で「不老不死」。長く付き合える相棒をぜひ見つけてください!

参考リンク
カナリア諸島原産のアエオニウムに関する詳しい記事」はこちら(英文)

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-今月のひとこと-

桜

「仙童唱(チョコチップ)」の部分を書いていてふと思い出したのですが、先日チョコチップが入ったチョコパンだと思って買ってきた菓子パン、口に入れて初めて黒いツブは全部干しブドウだと分かって本当にびっくりしました。あまり得意ではないのですがおいしく?いただきました。以後気をつけます。(眼科にも行きます。)みなさま良い春を!


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